コラム:エシカルタイルへの挑戦(1)

近年、建材選定においても「環境配慮」や「エシカル消費」がキーワードになりつつあるなか、長年タイルを製造してきた株式会社TNコーポレーションは、製造現場だからこそ見えてくる「課題」と「希望」を率直に発信したいと考えています。

このコラム企画では全3回にわたって、産業としてのタイル製造が抱える環境的ジレンマ、そこに向き合ってきたこれまでの試行錯誤、そして“リクレイタイル”というひとつの答えに至るまでのストーリーをお届けします。


【第1回】
「タイルはエシカルか?」~製造現場から見えるリアル

タイルは、空間に美しさと機能性をもたらす建材です。耐久性に優れ、清潔さを保ち、床や壁に個性を加えるその魅力は、時を経ても色褪せることがありません。
しかし、タイルが「エシカル」かと問われたとき、私たち製造者は立ち止まって考える必要があります。

◆タイル製造と環境負荷

私たち株式会社TNコーポレーションは、岐阜県可児市にあるタイル製造工場として、長年にわたりタイルの開発・生産に携わってきました。
色、形、質感。時代とともに変わるニーズに応えながら、新しい表現や機能を追求し続けてきた一方で、「タイル製造という産業そのものが、環境にとって本当に良いものなのか?」という問いは、常に私たちの中にありました。

タイルはまず土を押し固め、鉱物を主な原料として調合した釉薬(うわぐすり)をかけ、炎で焼くという、大昔から続く「やきもの」のシンプルな工程で作られます。また恒久的に使い続けられる「やきもの」である点からも、貼り替えやメンテナンスの頻度が低く、長い目で見れば非常にエコロジカルな建材と言えます。

しかし、その製造過程においては大量のエネルギーと原材料を必要とし、また焼いてしまったあとに生じた不良品や端材、解体後に残る廃材は、決してそのままのかたちで自然に戻すことはできません。

焼成を待つ大量のタイル

◆これまでのリサイクルの仕組み「循環型坏土」

実はこれまでのタイル産業界では、タイルの素地となる坏土(はいど)や表面をコーティングする釉薬を、ほとんどリサイクルすることができていました。焼成されてしまったタイルなら細かく粉砕し、使い切れなかった原料も一定量までは業者が回収して、坏土や道路の舗装材に混ぜることで、再び原料として循環していたのです。

循環型坏土のしくみ

しかし、中には特殊な材料を混ぜて作られたタイルもあります。これらは粉砕して坏土に混ぜてしまうと、品質に影響を与える恐れがあるため埋め立て処理となります。このように、すべての廃棄タイルがリサイクルに回せているわけではありません。

またタイル産業全体の生産量の低下とともに、混ぜ込む先の坏土の量そのものが少なくなり、リサイクルにまわす廃材とのバランスが徐々に崩れ始めてきたのです。じわじわと迫るリサイクルの限界を感じながら、しかし画期的な打開策が見つからないままここまで続けてきてしまいました。

そうした背景の中、私たちは長年にわたり「廃棄タイルをどうにか減らせないか」と模索し続けてきました。

廃棄されるものに、新しい価値を見出せないか。
製造現場の副産物を、もう一度素材として活かせないか。あるいはデザインとして昇華できないか。

工場の片隅に積みあがった不適合品の山を見るたびに、私たちはその問いに向き合ってきました。
しかし、これらの取り組みには多くの課題が伴い、思うような成果を上げることがなかなかできずにいました。

積み上げられた不良タイル

第2回では、これまで私たちが取り組んできたさまざまな挑戦、そしてその多くが続けられなかった理由について、包み隠さずお伝えします。
美しいだけでは終われない、でも、美しさを諦めたくない。そんなジレンマの中から見えてきた、「次の一手」へのヒントをお届けします。


▶ 次回予告
第2回:「できなかったこと」の記録 -製造現場の試行錯誤
タンブルボーダー、クラッシュ、テラゾー。私たちが廃棄ゼロに向けて挑んだ3つの取り組みとは? そしてなぜ、続けられなかったのか――


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エシカルタイルへの挑戦
【第1回】「タイルはエシカルか?」~製造現場から見えるリアル
【第2回】できなかったこと」の記録 ~製造現場の試行錯誤

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