コラム:エシカルタイルへの挑戦(2)

前回、私たちタイル製造の現場が抱える環境負荷の問題や、業界全体のリサイクルへの取り組みについてお話ししました。(前回の記事はこちら)
今回は、私たち株式会社TNコーポレーションがこの数年間のあいだに挑戦してきた、「廃棄を減らす」ための実践と失敗について綴っていきたいと思います。
【第2回】
「できなかったこと」の記録 ~製造現場の試行錯誤
◆「捨てる」を減らすデザイン 「タンブル」
タイルを製造していると、その過程で折れたり色調の不適合が出たりします。粉砕して原料に戻せるものもあれば、「擬石(表面に意図的な斑点模様をつけるための材料)」が混ざっているなどの理由でリサイクルに回せず、高額な費用と引き換えに最終処分場行きとなるものもあります。

こうした廃棄予定のタイルの不均一さを”持ち味”として活かす方法を摸索し、生まれたのが「タンブルボーダー」と「タンブルブリック」です。「ミルがけ」と呼ばれるエイジング加工によって端材のエッジを丸く削り、クラフト感のあるランダムな長さのれんがタイルとして再生しました。


表情豊かな仕上がりが特徴のタンブルボーダーは、JCDプロダクト・オブ・ザ・イヤーin Chubu”タイル編”で銀賞を受賞するなど、一定の評価を得ました。
しかし、”先に不良品ありき”という自己矛盾をはらんだ製造工程のために、継続的な供給は難しいことに気がつきます。結局、溜まっていた不良品をほとんど使い切った現在は、作り置きの在庫をわずかに残して生産終了となりました。
◆「砕く」ことで生まれる新しい景色 「クラッシュ」
次の挑戦は「クラッシュ」。割れてしまったタイルや不良品を細かく割って、モザイクタイルとして再構成してみました。


はるか古代から、人類はモザイクアートが大好き。クラッシュ特有の無造作な模様は、展示会等でも来場の方々の目をひくなど、プロの方から個人のタイル好きの方まで大変高い関心をお持ちいただけました。
しかし、粉砕・選別・梱包の全工程の複雑さに加え、歩留まりの悪さや施工の難しさが大きな壁となりました。「廃棄を減らすつもりが、結局は別の形で廃棄が出ているのでは」という本末転倒な状況が生まれ、こちらもやむなく開発中止となりました。
◆ タイルから別の建材の材料へ 「テラゾー」
三つ目の挑戦は「テラゾー」です。これはクラッシュをさらに発展させたもので、左官業者さんの協力のもと試験をおこないました。細かく砕いたタイルをチップ状にし、骨材としてセメントと混ぜて一枚の板に成型、表面を研磨するという手法でした。見た目もユニークでデザイン性が高く、商業施設やホテルのロビーなど高級ゾーンでの使用が期待されました。


しかし、材料の輸送コストの問題や施工が専門的すぎること、そしてやはり仕上がりの安定性(=骨材とするタイルが毎回同じものを用意できない)などの課題が残り、結論として「一度きりのプロジェクトでならチャレンジできるが、将来的に商品として販売するのは困難」という判断になり、こちらも開発は中断してしまいました。
◆「できなかった」ことを、無駄にしないために
こうして振り返ると、どれも確かな価値を持った試みだったと思います。しかし、いずれも「製造の安定性」「市場とのマッチング」「原材料の供給とコスト」という、現実の壁を越えることはできませんでした。

“廃棄ゼロ”という理想を目指すあまり現場への負担が大きくなり、肝心要の「持続可能」という視点を見失っていた面もあります。
思いだけでは、ものづくりは続かない——その重みを、私たちは痛感しました。
それでも私たちは、この数年間の試行錯誤を無駄だったとは思っていません。なぜなら、こうした失敗の積み重ねがあったからこそ、ようやく次のステージへと進むことができたからです。
第3回では、これらの集大成とも呼べるひとつの成果を紹介いたします。
▶ 次回予告
第3回:リクレイタイル ー製造現場の課題と挑戦
廃棄を減らすために、理想も現実も手放さない。「魅力あるタイル」と「循環できる原料」、両立を実現した“リクレイタイル”の誕生ストーリーをお届けします。



ご質問・お問合せは下記よりお気軽にご連絡ください。
CONTACT FORM >
エシカルタイルへの挑戦
【第1回】「タイルはエシカルか?」~製造現場から見えるリアル
【第2回】できなかったこと」の記録 ~製造現場の試行錯誤