ガウディのグエル公園

<一度見たら記憶に焼きつく特異なデザイン>

建築家アントニ・ガウディまたは彼の代表作サグラダ・ファミリア(聖家族教会)と言えば今では建築の関係者のみならず、一般の人でも知らない人はいないほどポピュラーな存在になっています。テレビのCMやドキュメンタリ番組、旅番組で取り上げられたりしていることが大きな理由でしょうが、それだけでなく、やはり一度見たら人々の記憶に焼きついて離れないその特異なデザインによるものでしょう。

アントニ・ガウディ(1852~1926 スペイン)

アントニ・ガウディ(1852~1926 スペイン)

私が最初にガウディと言う建築家を知ったのは、40数年前、大学で建築を学び始めた時です。
当時全く建築知識のない私にとって、聞く事、見る事すべてが新鮮で興味のある事でしたが、中でもガウディは特別でした。
と言うのは、日本のガウディ研究の先駆者、紹介者として功績を残された、故今井兼次先生が、丁度私が入学した年に教授職を退かれ、運よくその最終講義をお聞きする機会に恵まれたからです。
講義の内容はすっかり忘れてしまいましたが、ガウディについて淡々と講義をすすめられた先生の姿は忘れられません。
しかし、まだガウディに対する日本での関心は今と比べて低く、今井先生が教職を去られると同時に次第に忘れ去られる存在となり、私の記憶からも遠ざかってゆきました。
それから20数年たった、今から21年前の1988年(昭和64年)始めてガウディ建築を目の当たりにすることができました。

グエル公園の回廊 斜めの壁と柱による不思議な空間

グエル公園の回廊 斜めの壁と柱による不思議な空間

ドイツのミュンヘンで3年ごとに開かれる「セラミテック」の見学ツアーに参加して、その付録としてバルセロナ見学が組まれていたからです。駆け足旅行であったためじっくりと見学することはできませんでしたが、やはり実際に触れるガウディ建築は圧倒されました。現在のようなデジタルカメラもなく、使い捨てカメラの画像ですので写真の状態が悪いですが掲載させて頂きました。

前置きが長くなりましたが、ガウディ第1回目はグエル公園(1900-1914年)です。
ガウディ建築の導入部としてあえてこのグエル公園を選んでみました。
建設時は今で言う分譲住宅地開発でしたが、現在は市が買い上げて市民憩いの公園となっています。

グエル公園の回廊外観 内部では斜めが強調されているが外観は全く趣きが違う。

グエル公園の回廊外観 内部では斜めが強調されているが外観は全く趣きが違う。

あいにく訪れた時は、大掛かりなメンテナンス工事の最中で、有名なモザイク張りのベンチがある空中広場とその下部の市場用空間には入ることができませんでしたが、その代わり普段あまり人が訪れない自然の多く残された周辺部を見る事ができました。想像していたより公園内は広く、また緑が豊富であったことが印象的でした。
自然の景観とあの独特なガウディデザインの空間がマッチして、訪れる者を飽きさせません。
どこまでが自然の造形でどこからが人工の造形なのか、いやむしろそんなことを詮索することを拒否しているのがガウディデザインかもしれません。

回廊の天井部分  石材がどのように固定されているのか?

回廊の天井部分  石材がどのように固定されているのか?

直線と水平、直線と垂直が当たり前と思っている現代人にとって、ガウディが提供するイビツな空間は不思議な落ち着きを与えてくれます。一見不合理に見える構造もよく見ると自然にかなった合理を備えており、力の流れがデザインとなって構造の安定性を暗示しています。

別の回廊 天井と柱部分 柱上部のデザインはライトのジョンソンワックス本社を思い出させる 

別の回廊 天井と柱部分 柱上部のデザインはライトのジョンソンワックス本社を思い出させる 

掲載した写真はすべて回廊部分です。
先程もお断りしましたように工事中であったため、空中広場を含めたグエル公園の中心施設については手持ちの写真がありません。ネットで検索していて、ガウディ作品の素晴らしい写真を掲載しているサイトをみつけましたので以下に紹介します。興味のある方はこちらを御覧になって下さい。
ガウディの遺産 http://www.guell.co.jp/gaudi/index.html

ITEM

  1. 馬瀬【まぜ】
  2. 式部【しきぶ】
  3. 断片
  4. 藍里【あいり】
  5. トルテローニ
  6. チャット
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